君の存在を知ったのは、33年前のこと。

道都札幌の某高校に通っていた頃、バスの車窓からいつもの見慣れた風景…いつもの中古車販売店

あれ?…


なに?…

『変な顔したミニ』…
とある休日、原付でその店の近くを通ると『変な顔したミニ』ではないことに気付く

思いっきり下唇を噛みながら『アバース』…妙に心がときめき、なんだろう…これ


当時親交のあった二つ上の友人に解説を受け500ベースの君の存在を知り心引かれ『いつかきっと』と、心に誓うのであった。

当時は、今と違って情報の入手手段は皆無に等しい時代であり、また日々の生活に追われ記憶の片隅に埋もれ、いつしか長い年月が過ぎていた。

近年になってとある会合で知り合った岐阜の美婦人が新型500Cに乗っていることをFaceBookで知り過日の記憶が、鮮明に蘇ってきた。


『ABARTH』そう、アバルト

近所には、販売店もない。しかし、便利になった現代。
ネットで、情報を求めるとトリブートフェラーリなる限定車両があると…
横浜のとある販売店に問い会わせると1台在庫がある。とのことで交渉を始めるも翌日には、売れてしまったとの返答が来る。誠に残念であるが、今思い返すとこれが良い経験であったのだ。
話は前後するが、私には師とする二人の先輩がいる。一人は、他界してしまったが、彼の言葉にあった『迷ったときには、先ず動きなさい。何もしない後悔より可能性を求めることが重要である』を、思い出させてくれる貴重な経験であったのだ。
次の販売店に連絡するとここにも1台在庫があると…
そんな私は、翌日には神戸に飛んでいた。

アバルトとの再会、そして実際に生活を共にするも何かが違う…
乗って楽しい。
いつまでも乗っていたい。
同じ車に興味を持つ仲間と話題を共有したり

そんな充足感があるのだが…何かが違う…

友人が1000TCを購入…
友人がロータスエリーゼを購入…
なにか満ち足りた感が伝わってくる

葛藤…
ネットで情報を得ては、
札幌へ車両を見に行き…
埼玉へ見に行き…
何かが違う…

ネットで見つけたとある情報で1965年型アバルト595があると…
連絡を取るも既に売り切れの過去情報に泣くことしばし
その店では、イタリア本国と密に情報のやりとりが出来るらしく探してもらう話を進めていたある日。

突然舞い降りた話
すぐさま連絡を取り、迷うまもなく翌日には所在地まで飛んでいた。
そこで出会った君は、私を見つめ

『長いこと待っていたよ、会いに来てくれるのを…』と言っているようであった。

翌々週には、連れて帰ってきたのは言う迄も無い。


随分と待たせてしまったなぁ…